先日投稿した「10月新月の意味」という記事の中で、「これからタテ壊し、タテ直しが本格化する」という話をしました。
現在、我が国は50年来なかったインフレの波を受けていますが、近年続く困難な状況は、神示で言う「タテ壊し、タテ直し」の一環で起こっているものだと思います。
世の「禍事」というのは、何かが世の道理を曲げなければ起こりません。
悪影響を及ぼす存在がいるからこそ、それに対して人々に目覚めが起こり、世を「矯正しよう」という流れが起こります。
その「悪役」を買って出ているのが、現代においては「アメリカ合衆国」であると私は思います。
各業界の財閥グループのロビイストを通じて動かされる米国政権、超富裕層の作り出す利権が世界各国の政治に干渉することで起こる、社会的混乱や分断、空爆や紛争。
それらの中心にあるのが、賄賂と利権で権力が自在に発動する「アメリカ合衆国」という国です。
ただ「悪役」というのは、観客からすれば「舞台装置」にしか過ぎません。
カーテンコールでは演出家と並んでお辞儀をするのが、本来「役者」というものです。
「アメリカ合衆国」は「大峠」という大舞台にあっては最高の俳優であり、今のところしっかり「ヒール」を演じてくれています。
今日のBloombergのトピックは、いつもに増してアメリカの歪な世相を垣間見せてくれました。
- 米政府閉鎖が22日目に突入、歴代2番目の長さ-再開の見通し立たず
- 米サブプライム融資「プライマレンド」が経営破綻
- グーグル、量子コンピューターで大きな前進-5年以内の実用化に期待
まず冒頭の政府閉鎖ですが、民主党が推進する社会保障補助制度、通称「オバマケア」の予算成立を巡り、共和党との応酬が続いています。
既にトランプ大統領は2026年度の予算において、社会保障や教育に対する大幅な削減を行っており、来年1月には社会保険料の急騰も控えているとされます。
民主党提案の補助金予算が通らないのは、単なる政治マターのような気もしますが、肝心の国民へのケアが深刻に議論されているようには見えません。
それも政府の一部閉鎖が半月以上続いているのもありますが、政府は「休職扱いの政府職員」への手当の支給を渋っており、その件で連日揉めたりして学級崩壊状態が続いています。
これも今のアメリカならびっくりするような話題ではありませんが、本日のニュースでは自動車サブプライムローン融資企業「トライカラー」に引き続き「プライマレンド」も破産申請を行ったそうです。
自動車のサブプライムローンというのは、経済的に収入が低くて自動車をあまり買うことができない、融資の信用度が低い個人に向けたローンです。
2007年に世界金融危機をもたらした「サブプライムローン破綻」は、このローンが「不動産」に当てられていました。
これらの融資は、返済能力の乏しい中間層以下の資産規模の人々が受けるものなので、生活の厳しい人々が月々のローンを返済できなければ、それだけ融資は焦げつくことになります。
現在、アメリカ国民は払わなければならないクレジットカード金利が、一律22%を超えています。
日本では15%程度ですが、アメリカは電子決済やクレカ支払いが普及しているので、普段の買い物をリボ払いなどにする機会も多く、家計の金利負担は相当なものです。
しかも、毎年米国民が支払うクレジット金利の総額は1兆2000億ドル程度と言われ、これは日本の年金機構が取り扱う金額とほぼ同額とされます。
クレカやローンの滞納率は現在50%を超えていると言われており、個人家計の債務残高は5兆ドルを超え、毎月の金利を加算して200億ドル支払わなくてはなりません。
つまり、アメリカ国民はただでさえ著しい貧困化に直面しながら、高い金利負担を強いられています。
それに輪をかけて加速するインフレ、トランプ関税の転嫁負担と、どんどん生活しづらい状況になっています。
そんな時に国民の社会保障は減額され、保険料も大幅に値上がるのに、新たな補助金に「中絶やトランスジェンダー」への予算を組み込むことに躍起になっているのが、米国政界なのです。
この光景を見ると、日本はまだまだマシと思えるのが普通ではないでしょうか。
そして本日のトピックのトリを飾るのは、Googleの量子コンピューターチップの話題です。
写真ですでに「製品」になっているように見えますが、実際には「実証段階」であり、記事は「実用化まで5年以内になる可能性」という内容です。
普通、製品というのは販売に至るまでに「理論・研究段階」「実証段階」「実用化段階」「製品化(量産)段階」という工程を経ます。
この「製品化」まで至って、ようやく投資・開発費用がペイできるか、コストと需要が噛み合って経済合理性を伴うか、果ては技術革新になり得るか、という「現実」面での洗礼を受けるのです。
近年の「再生可能エネルギー」「EV」「生成AI」は、この「製品化」の段階で大きく躓くプロジェクトだったわけです。
そしてどれもが、技術的フレームの限界を突破できず、「技術革新」という青写真をカラーにするために国家権力を取り込み、誇大宣伝と補助金なしでは存続し得ない分野となっています。
「量子コンピューター」は更に胡散臭さを感じさせ、あまりに「順序良く、都合の良いタイミングで登場している」と思います。
今年のノーベル物理学賞に量子コンピューター理論に携わった米国の科学者3名が選出されましたが、一昨年は「生成AI」研究者が対象でした。
近年の「ノーベル賞」は実際の功績よりも「トレンド」に合わせた受賞が目立ち、近年では批判も増えて権威性も揺らいでいます。
おそらく、「生成AI」に限界が見え始めた昨今、もはや投資のトレンドは「量子コンピューター」に移りつつあるのだと思います。
だからこれから流行りそうな、大方予想できる売り文句は「量子コンピューターでAIを動かせば、AGIが誕生する」です。
しかし、冷静に考えて頂きたいのは、暗号通貨に始まり、ブロックチェーン、メタバース、NFT、生成AI、「世を刷新する新技術」がこれまで内実を伴っていたか、ということです。
Googleの量子チップが製品化できても、どれだけの価格帯になるか、コストに見合う生産性を伴うか、どれだけ汎用性があり、個人向けPCに組み込むことが可能かは別問題です。
また、量子コンピューターはともかく、いかなる生成AIに超高速演算をかけても「AGI」になることはできません。
生成AIはパターン識別器に過ぎず、全世界から権利問わずかき集めた生データを振り分けて、データを抽出し再構成するだけの機能しか持たないため、そもそも思考力はおろか抽象化能力も推論能力も持ち合わせていません。
私はかねてから「生成AIがAGIになるのは、ポケモンのピッピがハピナスになるくらい無理筋の話である」と言っていますが、量子チップとAIというコラボを意図するなら、それは企画倒れに終わる可能性が高いと思います。
おそらく、それでもこれからの世界経済トレンドは「量子コンピューター」と「AGI」「バイオ技術」になるでしょう。
それは利権に箔をつける機関に成り下がった、ノーベル賞の動向を見れば一目瞭然です。
これまでの「生成AI」ブームは、できるなら大きく破綻させることなく、「使えない」という事実を有耶無耶なままにして着地させておきたいところでしょう。
現在、米ドルも米国債もメタメタなアメリカ金融は、政府の財政収支や経常収支の赤字を補うためにも「第二次ハイテクバブル」を人工的に肥大化させて、海外から流動性を引き込む以外に手段がありません。
だから、できるかどうかわからず実態が伴っていると言えなくても、結果的に喧伝することで投資を呼び込めれば良いのです。
このバブルの仕組みも、FRBが株式市場に資金を投入し、大型株の株価上昇への浮揚力を上げる一方、ハイテク企業は膨大な自社株買いとオプション取引の濫用により「空中浮遊術」を使い、それに加え「循環取引」という魔法も使っています。
これで実態経済と無関係に万年上昇を続け、有頂天にある米国株式市場という「魔界」が形成されているのです。
しかし、あの日経ですらNVIDIAの循環取引を取り上げ始めたのですから、そろそろ燃料が切れる頃合いです。
どうも「生成AI」というのが駄ボラで終わりそうという空気になってきたからこそ、米国経済は二の手である「量子コンピューター」という、実用化すら覚束ない技術に乗り換えようとしているのではないでしょうか。
それを「第三次ハイテクバブル」とするなら、第二次ハイテクバブルをソフトランディングさせてから何とか繋ごうと、そこで登場したのがピンチヒッターである量子チップの旗手「Google」でしょう。
第三次ハイテクバブルがあるとしたら、主要メンバーは、おそらくGoogle、 Amazon、オラクル、Intel、DELL、パランティア当たりではないでしょうか。
どれも現在、トランプ共和党体制に順応する形で存在感を高めている企業群です。
このうちGoogle、Amazon、パランティアはイスラエルのガザ侵攻に際し、地理情報と個人情報と通信内容のAI分析と生成AIによるリスティングをイスラエル軍と共有し、軍事技術のIT化を担っています。
それに加わる新興生成AI開発企業の「パランティア」というのが曲者で、S&P500の時価総額最上昇銘柄となっていますが、現在の株価売上高倍率(PSR)は127倍と言われています。
株価売上高倍率というのは、株価から売り上げ高を割った数字で、1年間の売上高を全額配当に回したとして、その額と株価の価格の対比を出すことで、株価の正当評価を割り出す手法です。
1年間の売り上げを設備投資などに一切回さず、従業員の給料も社会保障も差し引かない、純粋な収益を配当に当てたとして、現在の評価額を回収するまでに何年かかるか、という計算になります。
そうして見ると、パランティアの現在の株価127倍というのは、127年待たなければ今取得した株式の価格の元は取れないことになります。
これを「割高」と評価するのも烏滸がましいというか、通常のPSRでは常識的に考えて5倍程度で回収困難とされるからです。
このパランティアは、イスラエルのガザ侵攻に寄与し、ペンタゴンからの手堅い受注を請け負っているから、これだけ投資家から期待をかけられているのです。
要人暗殺アプリ開発企業が時価総額最上昇銘柄となり、そのS&P500の好調に牽引されなくては成り立たないアメリカ株式市場というのは、「世も末」以外の言葉があるのでしょうか。
そして、これからアメリカ株式市場は米国国防省や軍事ロビーの息のかかったIT企業を中心に、引き続きバブルを噴かし続けるはずです。
そこでIT寡占企業の一翼であるGoogleは、より集権性を増し覇権力を高め、全世界の地理情報や個人情報だけでなく、情報メディア、広告媒体、アプリ、これらは電子端末の寡占を通じてより実権を握ることになるでしょう。
そして、アメリカの「帝国主義」は、マグニフィセント7選手交代後、Googleを始めとした軍事技術とITが融合した企業によって成し遂げられる、そういうシナリオなのだと思います。
私たちは日常的に移動中のナビから、YouTubeなどの娯楽から、こういったIT企業に依存した生活をしていますが、その裏に「ペンタゴン」と「軍事ロビー」がいることを忘れてはいけません。
まして、言論統制どころか携帯端末の標準化による「評価経済」の仕組みを作ることで、ビジネスの形や人心すら変えてしまった米国IT寡占企業が、いつまでも「世のため人のため」に営業していると思わないことです。
ただ、実際にこの「アメリカンドリーム(アメリカ帝国の夢)」が本当に実現するかと言えば、非常に疑わしいと思います。
というか、世界経済フォーラム主導の「人口削減、国家統制廃絶、寡頭体制の確立」という、遥かに巨大な目論見からはだいぶトーンダウンした印象です。
ワクチンの強制接種による人口統制、農業削減、化石燃料抑制、作為的な飢饉、言論統制と社会的分断、AIによる労働力削減、戦争による経済効果実現、全て未だに中途半端な結果に終わっています。
すでに、暗号通貨から「世界が変わる」というIT技術革新のスキームは、オオカミ少年のような雰囲気が漂っています。
ここで「量子コンピューター」というトレンドが都合良くやってきて、投資家たちがそのまま生成AIのユーフォリアから乗り換えてくれると思うのは、都合が良すぎる気がします。
そもそも、この人工的なバブルも「アメリカ経済の流動性確保」という側面が大きく、本質は技術革新にはありません。
これまで、アメリカの口利きがあればお金が集まるから、米国超富裕層の手足となって動く人々が世を動かしてきたのです。
しかし、肝心のアメリカから権威性や利権が消滅すれば、お金を貰って動いていた人々がボランティアでもアメリカのために仁義を通すでしょうか。
私はそうは思いません。
このハイテクバブルも風前の灯であるアメリカ金融を延命するための悪あがきであり、先日の金相場暴落も円の売り浴びせも、「ドル」高にするための小細工でしょう。
あらゆる持てる手を使って今の趨勢を変えようとしているのだと思いますが、「米国の信用低下」がドル安国債安の最大のネックになっている以上、小手先に過ぎません。
アメリカ経済の最大の問題は、中央銀行が年間1兆3000億ドルもの含み損が膨れ続け、利払いに1兆1200億ドルを毎年支払わなければならないということです。
それに反比例して下落し続ける労働参加人口と収益率では、いくら税金を上げてもこの赤字を埋め合わせる手段をほぼ持ちません。
だからトランプ大統領は「関税政策」という箸にも棒にも引っかからない飛び道具を使って、おかしなことを続けるのです。
そして長年いじめ続けた米国民も、もはや月々のローンすらまともに払えないほどに弱りきっています。
これらの「ハイテクバブル」をいくら噴かしたところで景気浮揚策にならないことは、既にこの不況が証明しています。
政府の無駄は削減できず、それこそ国防予算は好き放題に使われ、社会保障費も大幅に減らされた上に、インフレと経済低迷は一向に解決する気配がありません。
つまり、この株式バブルは富裕層のマネーゲームに過ぎず、まるで実態経済と乖離した状態の中にあるということです。
今、ほとんどの国民は政治へのアタッチメントを半永久的に失っている状態ですが、「国家」というものは少数エリートだけで成り立つものではありません。
米国民3億4000万人のうち、「勝ち組」の人々の総数はたかが知れています。
そうした大枠の中で、いつまで少数の権力者が大多数を従える構造を維持することができるのでしょうか。
人間が幸せに生き、安全と権利を保証されるために成り立つ「国家」というものが、逆の機能を持つ世にあっては、国家が機能不全になるのも道理ではないかと思います。
また「経済」というのも同様で、人々が豊かになるための互恵関係を担う手段の「お金」が、一人歩きしてギャンブルや建前に使われるようになった時、全く人々の幸福には役立たないようになっては本末転倒です。
だから私は、いずれこの仕組みは壊れるし、「壊れなければならない」ものだと思います。
国家や経済があるべき正常な形に戻るには、やはり今のままではいけないのではないでしょうか。
かつて「アメリカンドリーム」とは、トランク一つでアメリカに旅立てば、成功を掴み取れる社会にあったはずです。
しかしそれが今や生まれや育ちが限られ、利権にありつく人脈を持たなければ、何一つ成功できない構造になってしまいました。
そして「アメリカの夢」というのは、果たして帝国主義や、世界征服にあったのでしょうか。
それは少数のトップエリートの「夢」であって、薬害の伴うワクチンを強制接種されて数十万人の犠牲者を生むような、勝手の効かない社会ではないでしょう。
今こそ「自由の国」アメリカに、名実共に「自由」を取り戻して欲しいと思うのです。
映画を通して世界中の人々が見た「夢」のある国が、ハリウッド映画の悪役を地でいく世界というのは、あまりに皮肉すぎないでしょうか。
