楽太郎です。
今回は、世界経済の切り口から日本の今後について語りたいと思います。
結論から言うと、これから世界恐慌が起こります。
経済的に説明すれば、今アメリカのトランプ政権が目指しているソフトランディングは失敗します。
トランプ政権、1兆ドル超の26年度国防予算要求へ-13%余り増額 | Bloogberg
米政府から5月2日に発表された2026年財政年度予算請求額によると、国防費は前年度比13・4%増の1兆119億ドル(約145兆7000億円)で、政策的支出を示す「裁量的経費」は前年度予算の22.6%削減、歳出削減額は全体で1630億ドル(約23兆6000億円)となっています。
この削減対象となった分野は、エネルギー・農業・環境政策・教育・住宅補助・都市開発・海外支援などで、ほぼ国防費以外は全削減の割に予算請求額は過去最高となりました。
トランプ大統領は去年の大統領選で反戦平和と財政緊縮を打ち出して当選したはずですが、イーロン・マスクと共に肝入りの歳出削減に乗り出したものの、この予算案を見ると軍事費以外の予算を削減して軍事費に回しているだけに過ぎないように思えます。
アメリカの国防総省に費やされる予算は、不正支出や不明瞭な会計が多く、監査法人から何度も財務諸表を突き返されるほど会計に関してブラックな組織です。
国防予算はイスラエルのガザ侵攻に横流しされ、F16戦闘機などが無償供与される形となります。
ウクライナ侵攻ではウクライナ軍の軍事支援に渋りつつ、天然資源の差押えやAI兵器の開発を強要しながら、イスラエル軍が更地のようなパレスチナ自治区を空爆するために米国の税金が使われるのです。
トランプ大統領は、ペンタゴンの言い値通りの予算を捻出したように見え、果たしてトランプ大統領は選挙公約を遵守する気があるのか、疑わしくなってきました。
トランプ大統領が公約に掲げていたDSの糾弾や人身売買に関する摘発が有耶無耶になっているとは言いませんが、この予算案を見ると少なくとも米政府の放漫財政にメスを入れる気はないように思えます。
あれだけ威勢が良かった報復関税政策に関しても、諸外国からの反発に耐えきれず弱腰となり、猶予期間を設けることで混乱を避けているだけです。
トランプ大統領が推進するアパレルなど製造業の国内回帰は現実的でなく、製造業を中国など人件費の低い国々の競争力に匹敵するレベルにするなら、大量に移民を入れて低賃金で働かせなければ低価格競争に勝つことはできません。
移民に反対しているトランプ政権が米国民を低賃金で働かせるのは不可能に近く、しかも低収入の市民が高インフレの経済を支えることは難しいでしょう。
つまり、トランプ政権は真逆のことを言いながら真逆のことをやっているのです。
ただしトランプ大統領が意図的にグレートリセットの引き金を引くつもりはなくても、このままだと意図せずとも必然的にトリガーを引くことになるはずです。
アメリカの調査会社「バンク・オブ・アメリカ」のファンドマネージャーに対するアンケートでは、これまで米国投資を牽引してきた米国株・株式一般・テクノロジー・エネルギーは弱気含みとなり、電力や債券、ユーロ圏やイギリス株などに移っているそうです。
今のアメリカ経済を支えるテクノロジー分野、マグニフィセント7が牽引するS&P500の時価総額は過去最高域に達しながら、実は水面下では海外投資家の評価に戦々恐々とする現実があります。
実は、海外投資家の持つ米国株は20%弱の18兆5000億ドルと言われており、これまでAIバブルを蒸して外国から投資を呼び込んできた米国は、彼らの顔色一つで奈落の底に落ちる危険が常に隣り合わせです。
ミシガン大学の調査では、現在のアメリカの景況感、インフレ率共に1980年来最悪であり、FRBが鉛筆を舐めて出している統計を好意的に捉えたとしても、経済政策に関して悪手しか打っていないトランプ政権が、経済学200年の歴史を塗り替える快挙、つまりは奇跡のソフトランディングが可能かと言えば、私は全くそうは思いません。
投資家やエコノミストや経済評論家は、自分が損さえしなければ良い人たちが多いので、本当のことを言う人はかなり少ない世界です。
そこで出回るデータや論評は、はっきり言って有象無象に過ぎません。
何を楽観視して何を危険視するかが問われますが、「誰も真実のデータを出していない」可能性もあり、警戒はしても楽観視するような情報ほど注意する必要があるでしょう。
このソフトランディングに失敗すれば、アメリカに訪れるのはスタグフレーション、つまり景気後退とインフレのダブルパンチによる経済崩壊です。
これによりリーマンショックを超える米国株と国債の大暴落、基軸通貨ドルの失墜と世界経済のバランスの崩壊、脆弱なユーロ経済圏や西側諸国、我が国日本も例外なくアメリカの恐慌に巻き込まれて行くでしょう。
この数年、アメリカのマグニフィセント7が牽引してきた米国の株式市場は、4月以降の取引営業日の2割が2%前後、株価が乱高下しているというデータが存在します。
マグニフィセント7と言えば、生成AIブームの火付け役であり、GoogleもMicrosoftも独占禁止法で司法省に目をつけられている企業であり、生成AIの特性上、著作権法や個人情報などの人権を無視して開発を進めているハイテク分野でもあります。
権利的に見て社会的・文化的な影響を全く顧みることのない技術開発は、実際はアメリカの株価を牽引するための広告として使われていたりします。
果たして、これまで100兆ドル以上を費やして一つのアプリでしかない、正確性も権利面もあやふやな生成AIが文字通りの「AI革命」が成し遂げられないまま、テック株の大暴落に巻き込まれるとしたら、果たしてシリコンバレーの富裕層が夢描いた「AIユートピア」は実現するのでしょうか。
これらのビッグテックへの投資は、アメリカの中堅より上の大銀行が主体であり、それこそバンク・オブ・アメリカやJPモルガンなどの金融機関です。
米国株・国債の大暴落を受けて焦げつくのはこれらの金融機関であり、大して命に関わりのないアプリに莫大な投資をし続けられるとは思いません。
AI開発は、明確な革新技術となり得るものですが、AIロボットやデバイスの製造には全世界にサプライチェーンが確立していなければ安定供給は難しく、どうしてもiPhoneのように寡占企業による専売特許になって行かざるを得ません。
そのため今日のような不安定な国際状況では、生産と流通の面で課題が多すぎるのです。
生成AIに関しては誇大広告の部分が多分にあり、実際に現時点で言えば大層な技術ではありません。
AIバブルが崩壊すれば内実を知ることになると思いますが、現状はAIのユーフォリアの渦中にあるため、人々はなかなか耳を傾けないでしょう。
さて、アメリカが仕掛けたポンジスキームと言うべきAIバブルに乗っかり、日本政府高官や官僚組織、政治家や大企業と学閥のお偉いさんはさぞかし豊かになったことと思います。
それを尻目に、アメリカの経済崩壊が起きたら日本も巻き込まれるのかと言う話ですが、経済評論家の間ではわりと楽観的な意見が主流です。
日本には1.2兆ドルの外貨準備高があり、国内経済の基盤が盤石なため、諸外国に比べると比較的軽微だろうと言われています。
90年代の不動産バブルは大体アメリカから仕掛けられましたが、バブルの予後が最悪だっただけで崩壊自体は経済にさほど深刻ではなかったようです。
日本は未だに国内資本率では世界トップクラスの優良国であり、純粋に政治家と官僚に恵まれないだけの国なのです。
ただ、国家のトップにいる人々が日本人にとって最大のネックであり、国民が今すぐ目覚めたとしても打つべき手段はほとんどないでしょう。
落とすべき政治家の次に出てくる候補者を消去法で選ばなければいけない国が、奇跡的に復活するはずがありません。
現状、ただでさえ物価高で人々の労働意欲が低下している時に、消費行動が爆上がりする要因は皆無です。
食品も値上がり、流通も細くなっている実態経済において、世界恐慌と関税戦争に巻き込まれただけで一般市民の生活はますます逼迫するでしょう。
スピリチュアル業界では「2025年問題」とか言われますが、南海トラフ地震の脅威も身近にある中、大恐慌と大規模災害が重なれば手も足も出ない状況に置かれるのは目に見えています。
このカタストロフは目前に迫っており、これは脅しでも予言でも何でもなく、大不況下で大災害が起これば極度の混乱状態となり、にわかに復興できないのは冷静に考えれば誰でもわかります。
だからこそ、日本人には一人でも多くこの危機感を共有したいと思うのです。
日本人は戦後80年間、外国の富裕層や企業が雇うロビイストが贈収賄をすることで、実質的に動かされてきた米国政府の言いなりになって来ました。
それでも、日本人は優秀な民族なので、島国根性と言われながら独自の技術や文化を発展させ、産業として世界に認められました。
しかし、そこで「世界」というものを意識し始めて、日本はダメになったように見えないでしょうか。
現在、リバイバルブームで注目を浴びる製品やコンテンツの殆どが、90年代までに日本国内向けに作られたものです。
2000年代に入ると「グローバリズム」なるものが台頭し、外国資本だけでなく海外文化への受け入れも急速に進んで行きました。
日本企業が「世界」と言うものを意識し、西側諸国のルールや価値観をスタンダードにして行った結果、国内産業が衰退し外資系企業が隆盛する今の現状があるように思えてなりません。
日本の良い部分は形式化し、むしろ真髄に近い部分を海外に持っていかれ、日本人が外国の模倣を受け入れるしかない現状を鑑みるに、やはり上手いことやられてしまったと考えられると思います。
日本人は日本の国内市場を意識し続ける限り、独自の経済圏を保守し続けることができたのではないでしょうか。
日本が不動産バブル崩壊から立ち直れず、ダラダラと衰退の一途を辿る要因となったのは、一重に日銀の度重なる失策と円安政策にあります。
そもそも、日本の購買力平価に比較して円の通貨価値は半値に近く、実は国際競争力において覇権を取れる実力を持ちながら、日本政府はわざとそれを回避してきました。
日本が円安方針を取れば海外への輸出は黒字化し、貿易赤字が膨らめば企業収益は上がります。
国民に債務が増大すると、自己資本以外に資産を持たない市民に借金をさせることで、政府や大企業、資産家はますます潤います。
特に国内の輸出企業はグローバル化に成功した企業が多く、大企業がほとんどを占めるがゆえに影響力は甚大です。
こうして国民を貧しくさせることで利潤を得てきた人々がいる一方、家族を作れず少子化に拍車がかかった若者世代は豊かになりづらく、人材不足の穴埋めをするために外国人を斡旋することで儲けている人々もいます。
そして、物価高が続くのも日銀が円安方針を変えないからであり、その理由は円高が進むと昨年8月の米国株大暴落のような「円キャリートレード」の巻き戻しがトリガーとなり、米国経済は再び大暴落の憂き目に遭う恐れがあるからです。
つまりは、全てアメリカを中心とした国策であり、アメリカの支配下にある限り日本は復活できないどころか、一緒に破滅する必要のない日本までもが奈落の底に引きずり降ろされるということです。
この事態を私たちが止めることはできないとしても、ここまで見えても何もしない方が不可思議と言うものです。
ただし、今から政治活動に熱心になったところで時すでに遅しと言わざるを得ません。
現状でも国内がここまで荒れている上に、世界経済の崩壊は日本の立て直しよりも先にやって来ます。
だから私の考えとしては、ハードランディングへの備えをしつつ、動乱の起こる日本をどう作り直して行くか、と言うところに頭が向いています。
おそらく、現時点でその規模まで予測することは不可能です。
ただ明確に言えることは、日常的に手に入るものは入手できるかわからなくなり、食卓に並ぶ食べ物も、いつも通っている店もいつまであるかわからないと言うことです。
何となく今の生活が続いていくという頭でいたら、気持ちが追いつかなくなるかもしれません。
だからこそ、社会や経済に対する依存を極力減らし、自分自身も文明から自立できるような準備をしていくべきだと思います。
少なくとも、食糧難が長期化した時に何を食べて生きていくか、心身を病まず健康的に生活できるのか、想像を巡らせるところから始めてみてはどうでしょうか。
この記事をここまで読んでいただければわかると思いますが、全ては「アメリカ」という国家のエゴ、あるいはその背後にいる少数の人々の匙加減に100年近く振り回されて来たのが、我が国日本です。
このカラクリを知り、知った上でどう判断して生きていくか、その立場でものを考えてこそ日本の未来をしっかり見ることができるでしょう。
そして、自分一人でも何ができるかを考え、自分一人でも行動する信念と勇気を持つことです。
今こそ、「日本人よ立ち上がれ」とは言いません。
何も知らず、何もやらずに死にたくなければ、この世界と日本という国に対して、本気で向き合わなければいけない時が来たのだと思います。