乱世を生き抜く。

楽太郎です。

ここ最近は「アメリカ経済崩壊」について論じていますが、私自身としては貧困と社会不安に喘ぐアメリカ国民の不幸を心待ちにしている訳ではありません。

ただ、アメリカ金融界を牛耳るエリート階級が、その選民意識を剥き出しにして推進した帝国主義、いわゆる「グローバリズム」が現在の混沌とした世界の元凶であると見ており、彼らの破綻が全人類のみならず、真の「アメリカ合衆国」のアメリカ人たちの福音となると私は考えています。
だから、右翼的な眼差しで「アメリカが沈めばいい」と思っている訳ではないことを付け加えておきます。

さて、本日のBroombergに興味深い記事が出ました。
トップにある「Appleのアナリスト評価による投資判断引き下げ」ではありません。

「サブプライム」と聞いてピンと来ると思いますが、2007年に勃発したリーマン・ショック(世界金融危機)の引き金となった住宅のサブプライムローン破綻が思い浮かびます。
「サブプライム」とは、経済的に不安定で返済の信用度が低い人々に対する「引き剥がし」の意味が強いローンのことで、今回は自動車のサブプライムローンを展開するトライカラーが破産を申請しました。

この記事によると、貸し倒れの金額は2億ドル(約300億円)に達するそうで、この担保は融資先のJPモルガンとバークレイズが被ることになりそうです。
今はバンク・オブ・アメリカを始め大銀行ですら資金繰りに苦しい状況なので、このダメージは徐々にボディに効いてくるタイプだと思います。

この記事で「炭鉱のカナリア」と表現されているのは、この破綻のカバーをウォール街が平然と埋め合わせることが出来れば、それだけ金融業界に体力があると言うことです。
しかし、JPモルガンがそこでヨタつくようであれば、そのまま鉱山が吹き飛ぶことになりかねません。

以前記事に書いたように、金融業界の「人身御供」としてNVIDIAやマグニフィセント7が悪者になるシナリオが既に用意されていると踏んでいますが、先日のAppleのカンファレンスで新型機種がちょっと薄くなっただけで「言葉にできない驚き」と表現してAIに触れず、投資家に言葉にできない驚きを与えたのは記憶に新しいです。

株式市場や投資家からは「A Iに遅れを取っている」と批判されがちなAppleですが、NVIDIAとの架空取引計上にだけは手をつけていない(自社株買いによる株価操縦はしている)Appleだからこそ、生成AI分野が藪蛇であることは知っているのだと思います。

私は、生成AIバブルが弾けた後に生き残る可能性が最も高いのはAppleだと思っていて、派手にMicrosoftやAlphabetやMetaが吹き飛び、海外のハゲタカに事業が分割されて外国企業に譲渡されていくターンにおいて、Appleは「Mac」というブランドだけを死守して細々と生き延びていくと思います。
iPhoneに関しては、そもそもビッグテックがサードパーティのスマホの開発を阻害してきた枷が外れて、もっとユーザーフレンドリーな端末が出てくれば、代替される可能性が高いと思います。

おそらく世界経済崩壊後の時代は、一極集中型のサービスは経験上忌み嫌われ、分散型の低リスクな傾向ほど好まれるようになるはずです。
だいたい、アメリカという国が贈収賄に甘すぎる国だからこそ、政治も経済も腐敗が進んだのであり、その権化たる超富裕・エリート階級もガリバー化した企業を根城にしているのです。
だから、その元凶が明るみになれば、ここ30年かけて散々いじめられた世界中の市民が「何が悪かったのか」をようやく広く知らしめられる時が来るはずです。

私は最近、日本人が物価高と不況の中で何となく「やる気」を無くし、製品もサービスもこだわらなくなり、それでもしっかり対価は得ようとする姿勢にヤキモキしていました。
けれど、今は「やる気がない」のはむしろ喜ばしいことではないか、と考え始めました。

なぜなら、いずれやる気を出しても世の中はほとんど動いていないので、ガムシャラにやるほど空回りする可能性が高いです。
また、「やる気がない」ということは、どこかで「やることを探している」ことでもあり、仮にやりたいことがあっても今やれる状態でなければ、やはりそれができるタイミングを図る必要があります。

だから、むしろ「やる気がない」方が「やる気がある」と言い変えることができますし、これからアメリカの経済が崩壊し、それに引きずられ中国やヨーロッパ経済も沈んでいく中、不確実性が極限に達する世でルーティンの商売はいずれ見直すべきタイミングが訪れるでしょう。
また、その過程でドン詰まりが避けられない業界も幾つか出てくるはずです。
そのため、袋小路に入るであろう通常業務に命をすり減らすより、次の時代に生き延びることを考え始めた方が賢明と思われます。

ただし「金があれば安泰」と、今でも悪どいやり方で金儲けをすることに情熱を燃やしている人は、そのやる気が逆回転する可能性が高いと思います。
あと、利権に付随して不労所得を吸い続けているような人も、それは長続きしないでしょう。

経済の形が変われば、自ずと社会構造が変わり、政治も変わらざるを得ません。
得に、日本は政治など元々あってないようなもので、きちんと司法制度が機能していれば勝手に良い社会を作る賢い国民ばかりです。
だから、むしろ妙な既得権益が剥がされた方が、我が国は健全化していくのではないでしょうか。

そうして既存の仕組みが崩れ、何かしらのルールを新たに作り出さなければならない時はいずれ来ます。
その時、既にある産業基盤をどれだけ使えるのかは未知数で、「これは変わらないだろう」という予測は、下手に足元を掬われかねないと思います。

では、確実に「アテになるものがない」としたら、どう考えるべきでしょうか。

私は、これまでの人生経験や習得した技能、知識を総動員して、自らの才能と需要の均衡点を探ることがこれからの乱世を生き抜く秘訣だと思います。
つまり、身の回りに困っている人がいたり、世の需要を見極め、ニッチな要求に対するニッチな能力を発揮することで対価を得る、という考えが役に立つ気がします。

これまでの社会では、資本力のある企業や経営者が「これをやってくれたら金を払う」という契約を人と交わし、労働者が対価として企業からお金を貰っていました。
しかし、企業からするとより利益を確保するには、労働者の取り分をできるだけ減らしながら、何とかもっと働いてもらう方が、企業努力や設備投資を行うより手っ取り早いのです。

そして、労働対価と収益分のその差額は企業利益に計上させたり、あるいは経営者の懐に入っていった訳です。

私は、これが「働けど楽にならざる」日本人が経験した、「失われた30年」の縮図だと思います。
確かに日銀の頑固な政策によって財政は健全すぎるほど健全になりましたが、企業利益に労働分配率を持って行かれる状態のせいで若者が家庭を築けず、少子高齢化に拍車をかけたのは言うまでもありません。

長年搾取され続けた国民だからこそ、いい加減に「もうや〜めた」と言ってもいい頃合いなのです。
しかし、それでも生活費は高騰してますし、ローンもあれば働かない訳にはいきません。
だから、この際に収縮する企業や組織の言いなりになってガムシャラにやるより、ある程度はテキトーにやっても悪いことではないでしょう。

とにかく自分と家族を大事にして、自分のことに意識と時間を向け、もし今の仕事を辞めた上で、どう「才能」やスキルを使っていくか、そのことにリソースを使った方が有益です。
あるいは、暇を見つけて手に職をつける努力は特に有効だと思いますし、「一芸は身を助く」を地で行く時代になるのではないでしょうか。
だから、今店頭や会社でやる気のない人を見かけても、「怠けている」という目を向けず、生暖かい目で見てあげるべきかもしれません。

ただ、本当に怠けているだけなら何とも言えませんが、その事情は赤の他人には分かりようがありませんし、まず自分のことです。
社会に頼らず、周りに頼らず、世間での言説に頼らず、インフルエンサーに頼らず、自分の頭で考えて自分で行動すること以上に確実なことはないのではないでしょうか。

あと、もしそれでも不安なら、「神様」に手を合わせてみるべきだと思います。
きっと、良いひらめきを与えて下さるのではないでしょうか。

【追記】

なんと、ゲイツ財団の融資を受けている政府御用達のプロパガンダメディア、Broombergが例のエプスタインのメールを独自に入手したそうで、その内容の記事が公開されました。

何となくキナ臭い感じがしますが、文面によると「金融業者、政治家、有名人、ハイテク億万長者」の関係が明らかとなっているそうで、波乱の予感がするのは私だけでしょうか。